〜穢れた血〜
新学期初日の授業は、昨日や朝の事件よりも最悪なものだった。
1限目の薬草学は、授業の始まりにハリーがロックハートに捕まった。
(あぁ・・・哀れ)しかも、授業は授業でマンドレイクの植え替えで
皆、授業の終わりには泥だらけになっていた。
その後の授業も最悪だった。変身術はマクゴナガル先生はご機嫌斜め
だったし、闇の魔術に対する防衛術はことさら最悪だった。
「まったく!!もぅ、なんのよ!!」
新学期が始まってから立て続けに最悪なことばっかだったので、
とうとう金曜日の午前中の休み時間にがキレた。
「まぁまぁ、落ち着いて・・・;明日はハグリッドの所に行くんだから」
ハーマイオニーは、を落ち着かせた。
土曜日は4人でハグリッドの所に行くことになっていた。
ハグリッドとは、リドルがいた時の友達だった。(もちろん今もv)
時々相談に乗ってくれる相手でもあった。
翌朝。ハリーがクィディッチの練習に行ったとロンから聞き、大広間から
少々朝食を持ってクィディッチ競技場のスタンドに3人で行った。
スタンドに座って数分後、やっとハリーが出てきたと思えば、まだ終わって
なかったらしい。ハリーは、朝食を羨ましそうに見た後箒にまたがり空中に舞い上がった。
「「姫〜〜!!僕らの飛びっぷりを見ててね〜〜!!」」
フレッドとジョージがハリーと競争しながら、に手を振る。
「はーい!」
元気良く手を振り返す。
とロンとハーマイオニーは皆の練習を見ていた。
しかし・・・数分もしないうちにグリフィンドールチーム全員が飛ぶのをやめ、地面に降りた。
しかも何故かスリザリンのチームもいる。たちは様子を見に競技場に向かった。
「どうしたのハリー?」
がハリーに聞く。
「どうして練習しないんだよ。それに、あいつが何でここにいるんだい?」
今度はロンがスリザリンのクィディッチローブを着ているマルフォイを見て言った。
「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーだ」
マルフォイが満足げに言う。
「僕の父上がチーム全員に買ってあげた箒を、皆で賞賛していたところだよ」
ロンは、目の前に並んだ箒を見て口をあんぐり開け、の顔はしかめっ面になっていた。
(ルシウスの奴・・・・・・)
「いいだろう?」
マルフォイがこともなげに言った。
「少なくとも、グリフィンドールの選手は誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ。
こっちは純粋に才能で選手になったのよ」
ハーマイオニーが割り込みキッパリ言った。
マルフォイの自慢顔がちらりとゆがんだ。
「誰もお前の意見なんか求めてない。生まれそこないの「穢れた血」め」
マルフォイが吐き捨てるように言い返した。
とたんにごうごうと声が上がった。フレッドとジョージはマルフォイに
飛び掛ろうとしたし、アリシアは金切り声をあげた。
その中、ロンは杖を取り出し、マルフォイに向かって杖を突きつけた。
バーンという大きな音がこだまし、緑の閃光がロンの杖先ではなく反対から
飛び出し、ロンにあたりよろめいて芝生の上に尻もちをついた。
「「「ロン!!!」」」
ハリーととハーマオニーが同時に叫び、ロンに近寄った。
ロンは口を開けたが、言葉が出てこない。かわりにとてつもないゲップが
一発と、ナメクジが数匹ボタボタと膝にこぼれ落ちた。
それを見たスリザリンチームは笑い転げた。
その瞬間・・・の頭の中で何かがブチッと切れた。
「・・・ハグリッドのところに連れて行きましょう・・・」
は静かに言った。
「そうだね、一番近いし」
の変化に気づかないままハリーはうなずき、ロンを助け起こそうとした。
ハーマオニーもそれに続き、ハリーを手伝った。
2人がロンを助け起こしている間、はまだ笑い転げているスリザリンチームの
マルフォイのところへ静かに歩いていった。そして四つんばいになってるマルフォイを
無理やり立たせ・・・・・・・
バシッ!!!!!
力いっぱい頬を引っ叩いた。
そして、ハリーたちとハグリッドの小屋へ向った。
去り際に、「最低・・・・」とすごみのある声で呟いて行った。
もちろんその場にいた全員固まった。
「行きましょ・・・」
と何もなかったような顔ではハリーとハーマオニーとロンを連れて、
ハグリッドの小屋へ向かった。
ハグリッドの小屋まであと、5・6メートルのところで小屋の戸が開いた。
中から出てきたのはロックハート先生だった。たちは、ロックハートの
姿が見えなくなるまでそばの茂みに隠れて、それからハグリッドの小屋へ入った。
とりあえず中へ入ったら、ハリーはロンを椅子に座らせながら手短に事情を説明した。
ハグリッドは、ロンのナメクジ問題にまったく動じなかった。
「出てこんよりは出た方がええ。みんな吐いちまえ」
ロンの前に大きな洗面器を置き、ハグリッドは朗らかに言った。
とハリーとハーマオニーはその横に座った。
ハリーとハーマオニーとハグリッドは、少しだけロックハートの
話をした。は、何かを考え込んでいるのか下を向いて黙っていた。
「そんで?やっこさん、誰に呪いをかけるつもりだったんかい?」
ハグリッドはロンの方をあごで指しながらハリーに聞いた。
「マルフォイがハーマオニーのことをなんとかって叫んだんだ。
ものすごくひどい悪口なんだと思う。だって、皆かんかんだったもの」
「本当にひどい悪口さ」
テーブルの下からロンの汗だらけの青い顔がひょいっと現れ、しゃがれ声で言った。
「マルフォイのやつ・・・彼女のこと--------ウプッ」
ゲーゲーが始まり、またまたロンの顔がひょいと消えた。
「ハーマオニーのことを「穢れた血」って言ったのよ・・・・」
それまで黙っていたがロンの言葉を引き継いで答えた。
「そんなこと、本当に言うたのか!」
とハグリッドはハーマオニーの方を見て唸り声をあげた。
「えぇ・・・だから・・・マルフォイを引っ叩いてきた・・・・」
また素っ気なく言う。
「おまえさん、またやったのか!?」
を見て驚くハグリッド。
「また?」
ハーマオニーが聞く。
「あっ・・・いや・・・・なんでもねぇ・・・・」
を横目でチラリと見ながら慌てるハグリッド。
「ねぇ、「穢れた血」ってどういう意味なの?」
今度はハリーが聞いてくる。
「そうだわ。私もどういう意味だか知らない。ものすごく失礼だとは分かったけど・・・・」
「あいつの思いつく限り最悪の侮辱の言葉だ」
ロンの顔がまた現れた。しかし・・・すぐにまた消えた。
「・・・・私が話すわ、ロン。あなたは全部吐いちゃいなさい」
とはロンの方を心配しんばがら見て言った。
「あり・・・がとう・・・」
消え入りそうな声でテーブルの下からロンが言った。
それを合図に、は話し始めた。
「「穢れた血」っていうのは、マグルから生まれたっていう意味の------
つまり両親とも魔法使いじゃない者を指す最低の汚らわしい呼び方なの。
魔法使いの中には、たとえばマルフォイ一族みたいに、皆が「純潔」って
呼ぶものだから、自分達が誰よりも偉いって思っている人達がいるのよ」
「もちろん、そういう人達以外は、そんなことまったく関係ないって知ってるわ」
「それに、俺たちのハーマイオニーが使えねぇ呪文は、今までにひとっつもなかったぞ」
ハグリッドが誇らしげに言ったので、ハーマオニーはパーッと頬を紅潮させた。
(そういえば昔もこんなことがあったんだっけ・・・・。ハリー・・・・あなたの・・・・)
とハリーを横目で見ながらは心の中で思った。
その後、ハグリッドはハロウィーンの祭用のかぼちゃを見せてくれた。
とにかくは、一週間分の最悪な気分が晴れてスッキリした。
その夜・・・ハリーとロンは処罰でフィルチとロックハートの所へ行った。
とハーマオニーは、深夜まで帰ってこないと思い先に寝ることにした・・・。
その後、ハリーが不思議な声を聞くとも知らずに・・・・・・・。
つづく
◆後書き◆
予告通り・・・・ヒロインさんマルフォイ引っ叩いちゃいましたv
話にも書いてあるんですが・・・・このヒロインさん・・・・ジェームズ達の
時代にもスリザリン生を引っ叩いてるんですよ。
その時は、ハリーのお母さんことリリーのためにだったんですけどね。
戻る